改めて今思うローンの話
2025年4月に行われた建築基準法の改正。
これ、古民家のリノベにおいては結構重要な変更が加わりました。
その内容はまたきちんとまとめて記事にしようと思っていますが、ものすごく簡単に言うと、大規模な工事は古民家だろうと建築確認申請をしなさい、ということになったのでした。
つまりそれは現行法に合わせろってことで、石場建てじゃなくて基礎作れとか、壁量を増やせとか、そういうことになってしまうのです。
この「大規模な」ってうところの塩梅がミソで、たとえば屋根を野地板も含めて全体的に葺き替えると基本的にはアウト。スケルトンにするならもちろんそれもアウト。
なのです。
え、じゃあどうするの、どうすればいいのってことですが、現在はそれに伴い、古民家のリノベーションは基本的に二つに分かれることになったと思います。
1. 状態の良い古民家を見つけて、規制に触れない程度にちょこちょこ工事をする。
2. きっちりお金をかけて現行法に準拠するように直す。
ようするに、
でけぇ工事をしなきゃいいんだろォ?オオン?
というのと、
金かけりゃいいんだろォ?アァン??
という二択なんですね。
で、今回は2番、金かけて直す!!という選択肢を採られる方々へのアドバイスです。
僕は当初まったくそんなつもりはなくて、もう最低限のローンで最低限のつつましい暮らしができればいい…と思っていたのですが、いろんなことがありまして、思ってた金額の3倍くらいのローンを抱えてしまいました。
3倍というのはなかなかの金額で、毎月5万円程度のローン返済なら大丈夫、と思っていた僕が、現時点での家のローンに支払っているお金はトータルで月々14万5千円。返済が早く終わる分があるから瞬間最大風速ではあるものの、もし僕を担当するファイナンシャルプランナーがいたら白目で泡を吹いて卒倒してると思います。
僕だってほんと「なんでおれ生きてんの?」と月に5回くらいの頻度で思います。
なんで生きてるんですか?
という実例と共にお伝えしたいんですが、ローンはMAXで借りましょう、ということです。
いろんな計算をして、それこそFPが用いる計算式でローンの上限が決められたとしてもだ、毎日住む家、毎日手に触れて、目に触れて、一日で何時間も過ごす空間ですよ。
クルマどころじゃないんですよ。
僕ね、全然後悔してないんですよ。
それどころか「お金かけて良かった~」って毎日毎時間、それを約10年間、ずーーーーーっと思い続けて、ずーーーーーーっと「良かった~」って思い続けて10年間生活してきたんですよ。
この満足度はもうお金には換算できません。
はいはい良かったね、でも君、毎月の支払いに苦しんでるんでしょ?
と思う方もいらっしゃると思いますが、人間、5万が14万になっても死にはしないんですよ(ほんとに?)。
それに「苦しむ」という感覚もないですね。
なぜなら14万5千円を払うことが僕の「日常」だからだ。
考えてみてください。
人間、日常から逸脱した時に苦しみを覚えるのですよ。
山の上に家を建てた人は、お客さんに「ハァハァ……毎日……こんな坂を登ってるんですか?……ゼイゼイ」とか言われるでしょう。
でも山の上に住んでる人はそれが日常なので「苦しむ」まではいかず、せいぜい「だる」くらいだと思うんですよね。
極寒のシベリアに住んでる人も苦しんで住んでるわけじゃないですよね。「さっむ、ダル過ぎ」くらいに思ってると思うんです。
で、
僕も14万5千円に対しては「金ない、やばい」とは思うものの、「とは言えこんなに素晴らしい古民家で毎日生活ができてるんだからそんくらい払ってないとおかしいしまあお金は無いけどなんとか頑張ってやってきますわ!生活最高!」というポジティブパワーでやっていけるのである。
生活の環境って大事。
そして何よりこれがポイントなんですが、100万円が10万円に、10万円が1万円くらいに感じられるあの施主ゾーンから抜けた今となっては、100万円とかもう全然払えないということだ。
100万円?
ハハッ。
あるわけないやん。
という、至極まっとうな今のこの感覚こそが正しいのであるが、工事中はもう100万とか200万とかいうお金がポンポン消えていく、そのわけのわからんテンションの中で断熱したり建具を入れ替えたり塀を直したりするのであって、それがひとたび過ぎたあとは、100万円というのはめちゃくちゃ100万円なのであり、もっと言うと20万円でも無理、いやだって20万円よ? え? 洗濯機の買い換えって20万円???かかるんですか???え???私に死ねと????
みたいな感じになるので、「ローンを抑えて、お金が貯まったらその時に少しずつ直していけばいい」という考えには非常に懐疑的な僕であります。
普通に暮らしててお金なんか貯まるか??
え? 貯まる?
あ、なんかすみませんでした……長々と話しちゃって……
ということで(どういうことで?)、ローン組むんなら最大限がオススメということです。
それにローンには団信っていう死んだらチャラになる仕組みもあるから、ある意味で生命保険みたいなもんですよ。
それよりも今はどうやってお金を借りるか、の方が問題かも知れません。
僕は工務店の親方が懇意にしている地元の信用金庫さんで借りれましたけど、そのエリアごとにいろんな方法があるので、そういうのは地元の工務店さんなら知っているかも。
ちなみに西日本シティ銀行さんがあるエリアにお住まいの方は、古民家用に「ヴィンテージ住宅ローン」という素晴らしすぎる制度があるので、ぜひそちらの活用をご検討いただければと思います。
これまでブログでも何度か書いてきましたが、月々5万円が消えたとしても、人間、それくらいの損失はなんか日常でふんわりと吸収できるものです。
うち子供が二人いるんですけど、よく成人までにいくらかかるから、一人にしておきましょうとか、子供は諦めますとか、そういうこと言ってる人がいますけど、そんなもんね、日々のほんの少しの判断、焼肉やめて天津飯にするとか、新品の服じゃなくて古着屋に行くとか、金ないから飲むのを控えるとか、なんとなくのそういう無数の判断×20年で、子供育てる金くらい作れるっちゅうねん。
作るっていうか、知らん間にお金が消えてて、そして本人は消えてることにそんなに気付かんのですよ。
そんな感じでなんとなくやっていけるものなんです。
だから家も子供も、あんまり賢くなって電卓叩かない方がいいよ。逆に幸せを逃しちゃうよ。
と、アホな僕はアホなりに思います。
今回はそういうお話でした。



