古民家リノベーション体験談46 家が建つ
【前回までのあらすじ】一週間寝てない世界ヘビー級チャンピオンもたいがい強い
前回はコンクリート基礎の有無について、その違いを話しました。
今回はその次のステップについて話します。
が、
46回目にしてまだ本格的な古民家再生をしていないこのブログ。『ONE PIECE』の新刊並に現在の状況が分かんなくなってる方もいらっしゃると思いますので、その前に図面のおさらいします。
はい。
グレーになっている部分が、既に解体済みの部分です。
ダンプを通すために潰した左上の玄関、その右隣に増築されていた応接室、左側の土間だったところにキッチンやら風呂やら増築されていた部分、そして右側の離れですね。
これらはすべて解体されました。
そんで新しい離れを、赤枠の辺りに建設中というわけです。
思い出して頂けたでしょうか。
なお、この当時は離れを解体したせいで住むところが無くなり一家は離散、僕だけが母屋のカビだらけで暗くて寒くて壁がなくて新聞紙貼ってる古民家で夜中まで働いている、という状況なわけですが、その悲しみをここに書くと世界中の人が涙して文学賞を受賞しちゃうので割愛します。
話は新築に戻ります。
赤枠の部分にベタ基礎を打設した次は、その上に家を建てていく作業が始まりました。
この作業を「建て方」と言うんですって。
早速組まれる足場。
この写真を見て「わーすごーい! いよいよボクの家が建つんだ~」とか思ってるヌルい施主はいません。
もーこっからはめちゃめちゃシビアな金の世界です。
足場を見上げている施主の頭の中には「足場:15万円(税抜)」という一行しかありません。
施主は足場の冷たい鉄管にそっと触れながら思います。
この足場のサイズは妥当なのか?
もっと小さくできたんじゃないか?
組み立てるのが遅くなかったか?
もっと簡単に作れるんじゃないのか?
足場は本当に必要だったのか?
そもそも家は必要だったのか?
あなたはなぜ家を建てるのか?
家って一体何?
人間の幸せって一体何?
と。
またまた大げさに~と思ってる方々のために、当時毎日睨みつけていたエクセル表をチラ見せします。
いやあ、今でもこの表を見るたびに胃酸が過剰分泌されますね。
オエップ。
特にうちの場合は僕も工務店も超適当なので、工事してる最中に僕の思いつきでガンガン仕様が変更されていきます。その結果、この表の金額がどんどん増えていくのです。
僕が何も考えずに膝を抱えて暗い部屋でじっとしていれば、工事費は予算内に収まったでしょう。
しかし僕はじっとするどころか朝8時から夕方5時まで頭にタオル巻いて現場に立っていました。
その結果、素晴らしい家と、素晴らしい借金が生まれたのでした。
まー工務店任せで投げっぱなしで、完成したあと30年にわたって家の不満をブツブツ言い続ける人生とどっちがいいかっていうと、どっちがいいんでしょうねえ。
いずれにしても、もう取り返しが付かない世界にいるわけです。
この写真見てください。家をつくる部材になぜか自分の名前が刻印されています。
いかがですか、この取り返しがつかない感。
はっはっは。
もう建てるしかないやん。
ということでやっとタイトルの「家が建つ」につながりました。
家を建てるのです。
皆さん、家を建てるのってすごい日数かかると思うじゃないですか。特に骨組みの部分は、大工さんが汗をふきながら金槌とノミとカンナで、雨の日も風の日も一生懸命少しずつ組み上げていくイメージじゃないですか。
それが違うんですよねー。
上の基礎だけの写真あるでしょ、あそこから家が組み上がるまで、なんと1日。
「建て方は早いっすよ」て大工さんから聞いてたけど、まさか1日だと思ってなかった僕は、現場を見て思わず「は?」って言いましたよ。
なぜそんなに早いのか?
うちの大工さんがスーパー大工さんなのか?
違います。
あんなにしょっちゅうパチンコ行ってるやつがスーパー大工なわけありません。
答えは「プレカットだから」です。
次回、その辺のことをお話します。