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古民家リノベーション体験談66 塗り続ける日々

【前回までのあらすじ】ヘレン・ケラーを導いた偉大なる家庭教師サリバン先生は当時20歳(本当)

皆さんこんにちは。
20歳の頃は基本的に朝から晩までプレステでストⅡのコンボを練習してた大原です。
今回は「塗装」についてお話していきたいと思います。
離れが完成し、いよいよ家族を呼び戻し、これから古民家である母屋の大改装に入っていくというこのタイミングでなぜ「塗装」の記事を書くのか。
ほんっといい加減に古民家リノベーションしろよ!!
なんだよこのブログ!!
というお怒りはごもっともですが、そんなあなたに有名なこの格言をご紹介しましょう。

古民家リノベーションは塗装に始まり塗装に終わる。

え、そうなん?
そうなんですかね。僕も初めて聞きましたけど。
これが本当なのかどうか知りませんが少なくとも僕はそうでした。
なんかもうずっと塗ってましたよ。
壁とか、枠とか、天井とかを。
塗る作業はもちろんしんどいんですが、それ以前に、どんな塗料をどこにどう塗るのかを考えるのが、一番しんどかったように思います。
僕は一応デザイン関係の人間なので、「色」に関しては普通の人よりもシビアに判断していると思います。
例えば「グレー」という色であれば、最低限これくらいの使い分けはします。

いやべつにドヤってるわけじゃないですけど。
誰でも当然これくらいは使い分けるんです。
ところがホームセンターにペンキを買いに行くとですね、「グレー」と「ライトグレー」しか無いわけですよ。
「は?」と思って他のホームセンターをハシゴした結果、どこのホームセンターでもそんなもんだと知るわけです。
結構衝撃でした。
それで結局、自分で混ぜて作るはめになったのです。
だってそんなめんどくさくて細かいこと、地元の工務店さんに頼めないじゃないですか。
頼んだら絶対請求増えるじゃないですか。
だから自分でやってたんですよ。新築も古民家も。全部自分で塗りましたよ。
おかげさまでこんなことにもなりましたよ。

ペンキと白髪

まあそんなことはいいのよ。
ペンキはわりと簡単だから。
それより問題は漆喰とモルタルでした。
道具もないし、そもそもどうやって塗ればいいのか分からない。
そんなところに、ちょうど風呂のタイルの下地作りに来ていた左官屋のおっちゃんがいたので、僕はモルタルが余ったら練習したいから道具と一緒に貸してくれ、と頼んでみました。
すると「よっしゃ、ほな塗り方も教えたるわ」と二つ返事でOKしてくれたのです。
僕は早速、気に入らなかった古民家の母屋の縁側の外壁をモルタルで塗っていきました。

モルタル塗り

現場でプロに教えてもらいながらやってみると、案外うまく塗れるではありませんか。
「おう兄ちゃん、うまいやんか」
おっちゃんにも褒められ、僕の手のスピードも上がります。
この調子でいけばこの外壁は全部自分で塗れるかも~♪ と思っていたその時です。
左官屋のおっちゃんが言いました。
「兄ちゃん、わしもう帰るから、道具返してくれるか」

~そして数年の月日が流れた~


あの日から時間が止まったままの塗りかけの壁

あとですね、「古色塗装」も悩みましたねー。
言うまでもなく古民家リノベーション工事は古材と新材が混ざり合うわけです。
古びた味わいのある柱に、ピンピンに尖った真っ白な新品の木材がつながるんです。
う~ん……
これって……
塗るべき……?
というジャッジメント。

離れの工事の段階で既にその葛藤は始まっていました。
なぜなら僕は新築工事に古いドアや古い窓や古い照明器具をガンガン使っていたからです。
そんなところに新材は、やっぱそのままでは合わんのですよ。
馴染まないんです。
無垢板の廊下だって、僕は「縁側のミシミシ鳴る古い床」みたいなやつに憧れていたんですが、完成したそれはまるで無印〇品のナチュラル木製シェルフのよう。
味の出まくった洋館ドアや古い照明、格子の建具が揃った中、床だけピンピンでツルツルなんです。
例えるなら海千山千のコワモテ不動産業者の中でオムツの赤ちゃんがハイハイしてるようなもんです。
まあその赤ちゃんだっていずれは身体のあちこちに毛が生えてきてブクブク太って歯が黄色くなって口臭が酷くなって立派なコワモテ不動産業者の一人になるんでしょうが、
そんなには待てません。
僕は工事が終わってすぐに友達を呼んでドヤりたいのです。
ということで、親方に「縁側の古い床」みたいな色にするにはどうしたらいいか質問してみました。
すると親方は言いました。
「毎日固く絞った雑巾で拭いて50年くらい経ったらそんな色になるわ」

なるほど!! 了解!!

結論から言うと、ぶっちゃけ塗らなくても目が慣れるし、思ったより木の変色が早いし、まあ全然気にならないです。
塗ったところはすごい馴染んでますけどね。
たとえばこれはクロニカスペシャル配合のオイルステインを塗った窓枠。

オイルステイン塗装

見ての通り超馴染んでます。
これは洋風の建具なのでオイルステインを使いましたが、日本の建具には昔ながらのベンガラなどの自然塗料をクロニカスペシャル配合で塗りました。

超馴染む。
塗料の話はきりがないですが、まあとにかく古民家リノベーション工事の戦いは、既に離れを建てている時から始まっていたのですよ。

「塗装」。
それは地元密着の工務店において高確率で誰もディレクションしてくれない、隠れた難関です。
しかもネットでも全然情報がなく、どこに何を塗ればいいかノーヒント。
あ、分かんないからといってその辺の茶色の塗料塗ったらダメですよ。
古色塗装じゃなくて「茶色に塗られた木」にしかならないですから。そういうケース山ほどありますから。
それするくらいだったら、塗らない方が100倍マシです。
取りあえず今回は、そこだけ覚えておいて頂ければと思います。

いやー、自分で書いてて思いますが、古民家リノベーションはクリアすべきハードルがたくさんありますね。
でもクロニカ読んでりゃ大丈夫です。
一つ一つ、クリアしていきましょう。

つづく。

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