古民家再生、古民家物件、リノベーション情報など。

コロナと古民家と子育ての話

コロナ禍による外出自粛、緊急事態宣言、テレワークやら何やらという時勢になってから、気付けば一年近く経ちました。
だからというわけではないですが、今日なんとなく思い立って、コロナ禍において古民家に住む僕らがどんな感じで生活、育児しているのかというお話をしようかなと思います。

結論から言えば、古民家ほどコロナ禍における快適な住宅はないんじゃないか、そして子育てに向いてる住宅はないんじゃないか、というのが実感です。
特に郊外や田舎にある、広い庭付きの、ウチみたいな古民家は。

ちょうど先日庭の大谷石のポーチについてお話したので、現在の状態のご紹介も兼ねまして、こちらの写真をご覧ください。
先週末の一コマです。

庭でピザを焼く
庭でピザを食べる
ベビーリーフのピザ

子供たちのリクエストで、庭でピザ焼きました。
べつに特別なイベントじゃありません。今日はちょっとゆっくり昼飯食べよっか、な感じです。
我が家には広い庭があり、いつでも炭をおこせるため、よく炭火でいろいろ料理します。
この日は春の陽気だったので、土間からテーブルと椅子を出して、ポーチで食べました。
背後の土間にはレコードが流れています。
静かな環境なので、レコードの音楽と鳥のさえずり以外、何の音もありません。
食事が終わると、子供たちは庭に走り出して、木の棒を振り回したり砂場の泥をこねたり追いかけっこしたり石を投げまくったり草を抜きまくったりして遊びます。
親は親で好きなことをして過ごします。
そんな週末を、古民家に引っ越してからずっと続けてます。
コロナ禍は我が家にほとんど何の影響も与えません。
外出を禁じられても、何の不都合もありません。
もともと外出する必要を感じないからです。
(もちろんこのゆったりと流れる時間の中には罵詈雑言が飛び交う夫婦ゲンカや陰湿な兄の嫌がらせや泣き叫ぶ弟の絶叫、そして親の脳裏には毎月の支払いや住宅ローン残債からくる焦燥などがありますが、それは今回のテーマと関係ないので割愛)

土間のソファ

なぜ外出する必要がないのかというと、家が広い、庭が広い、ということだけではなく、家が多様だからじゃないでしょうか。
この家に同じ部屋はありません。
玄関、土間、居間、座敷、仏間、寝間、すべて広さも違うし作りも違うし使われている材料も違います。
目的もあやふやな、ちぐはぐな空間があちこちにあります。
そしてその空間がぜんぶ繋がってます。
子供たちはその空間を自由に走り回り、その空間ならではの遊びを見つけ、自分たちで何やら勝手に遊んでいます。
僕は子供たちに「退屈だからどこかに連れてって~」と言われたことは一度もありません。
退屈どころか、ごはんの声をかけても全然戻ってこないんです。
夢中です。

キッズルーム
土間のダンボールにIN
クロスカウンター

大人たちもまた同様に、家にいて息苦しさを感じることはありません。
居間で映画を観たり、土間でレコードを聴いたり、離れ二階の自室でPC作業したり、仏間でマンガを読んだり、子供が散らかしまくった部屋を片付けたり、木っ端を使って子供たちと棚をつくったり、はしごに登って電球を替えたり、庭でコーヒー飲みながらボケーとしたり、一緒に水遊びをしたり、座敷で昼寝したり。
地味ですが、多様な生活を過ごしています。

縁側

それにずっと家にいると、いいことがあります。お金がかからないのです。
先日のピザなんてチーズと具材と炭代だけです。
子供たちと水かけまくって遊んでも水道代だけです。
コロナになって自分の財布から全然お金が減らなくなってることに気付きました(しかしなぜか貯金は増えない七不思議)。
たぶんコロナ禍があけても、僕はもはやお金を使う遊びはしないんじゃないかなと思います。
なんかコロナのおかげで自分たちの生活に必要なものがはっきりしてきたなあと、今はそんな気持ちです。

じゃあ古民家に住むとお金がかからないのかというとそうではなく、当然、まずはじめに修繕費が必要です。
たぶん普通は1000万円、2000万円とかかります。土地購入を合わせたら3000万円、4000万円、場合によってはそれ以上の世界です。
でもそのコストは、賃貸ボロアパートだろうが新築タワマンだろうが、日本に住む限りは多かれ少なかれ一生払うことになる「住まい」に必要なお金です。
いろんな価値観がありますしいろんな暮らし方がありますので一概には言えませんが、僕は同じお金をかけるんだったら、こうして後々に活きてくるものにかけたいなあと思ってます。

夏の土間

さてもう一つ、親にとってのメリットは、子供たちを放っておけることです。
ごはんに呼ぶ時は、うちの奥さんと、
「あいつらどこ行った?」
「知らん。寝間ちゃう?」
「寝間におらんかったで」
「ほな庭かな」
と、こんな感じで子供たちを探すところから始まります。
子供がどこに行ったか分からない、つまり、それくらい完全放置できるということです。
親は子供にかかりきりにならず、自分たちのことをやる。
子供も親の目の届かないところで悪さができる。
そういう感じって、親にとっても子供にとってもベストな距離感じゃないでしょうか。
「息苦しさ」を感じないのはこの距離感のおかげかも知れません。
そして子供たちといえば、放置されたその先で、本物の木に触れたり、障子を破ってしまったり、土の冷たさを知ったりしながら、五感で自然を感じていることでしょう。

土間でピタゴラ
めちゃくちゃ
泥遊び

僕は東京のワンルームのハイツにも住んでましたし、都会のマンションにも、郊外の住宅地の一戸建てにも住んでました。
いろんな地域、いろんな家を転々としてきた僕は、子育てのタイミング、そしてコロナのタイミングで、ほんとに古民家で良かったなと思ってます。
あんまり褒めてもアレなんで何かマイナス要素も書こうと思いましたが、ちょっと思いつかないので止めました。
それくらい対コロナ、対育児においては良いことだらけです。
僕らは今週末もきっとどこにも出かけません。
でもたぶん、どこかに出かけるのと同じくらい、充実した週末を過ごすと思いますよ。
古民家まじおすすめです。

おわり。

pagetop