古民家リノベーション体験談37 古建具を集めた話
【前回までのあらすじ】解体屋さんについていって古建具を救出したよ
前回、ちょっと古建具の話になったので、今回はその辺のお話をします。
母屋の再生に向けて、実は1年かけてプランを練ると共にコツコツ古建具を収集しておりました。
前にも書きましたが、基本的に古民家なんざ住人の方々に好きなように改造されてるもんなんです。
おしゃれな窓があっても「寒い」という理由でアルミサッシに替えられてますし、貴重な型ガラスの玄関戸があっても「雨がかかっても痛まない」という理由でアルミドアに替えられてるもんなんです。
なのでデフォルトでいい感じの木製建具が残っている物件は、それだけで「あたり」だと僕は思います。
それ以外の物件を購入した僕のような人間は、元の雰囲気を取り戻すために古建具を集めることになります。
古建具の入手先は様々です。前回のように直接譲ってもらうこともあれば、ネットで買ったり、建具屋さんのデッドストックを見つけたり、知り合いの店を頼ったり。
僕はそうして集めた建具を母屋の増築された一室にストックしていったのです。
ただ、集めながらものすごーーく心配だったのは、
「これ使えるん?」
ということでした。
今はどうだか知りませんが、当時は「解体屋さんからもらった古建具の窓を入れて古民家再生しました☆」みたいな情報はほぼありませんでした。
なので僕は使えるかどうか分からない状態で、何十枚もの古い木製窓やドアを集め続けていました。
今思えば、既にちょっと頭おかしい人になってたと思います。
古建具といえどネットで買うと結構なお値段。
それを使えるかどうか分からないのに14万円とかポーンと払うわけです。
もう完全に施主ゾーンです。当時14万円が1400円くらいに見えてました。
当時もし5000円のたこ焼きが売ってたら50円だと思って買ってたと思います。
でもそのおかげで、たくさんの素晴らしい建具が手元に揃い、離れにも母屋にも大活躍したのでした。
で、結論。
「その辺で見つけてきた古建具は、古民家再生で使えるのか?」という問いに対する答えは
「だいたいいける」
です。
これは工務店にちゃんと建具屋さんがいるかとか、いなくても大工さんが上手にやってくれるかどうかという施工側の技術もあるので絶対ではないですけど、基本的に「高さ」「厚み」「幅」が大体合ってれば、大体そこに入るよ、ということです。
もちろん新しく作る壁には余裕で入りますし、既にアルミサッシに替えられていても、土壁なのでどうにでもなる。幅が足りなければ木を当ててちょっと足せばいい。高さがオーバーしてたら削ればいい。足りなければ足せばいい。
引き戸の厚みだけはどうにもならんので、今ある敷居鴨居に入れるんだったらそこだけ気をつけろ。
というのが建具屋さんのアドバイスです。
実際、そうして入ってる建具がこちら。
ご覧のように、幅が全然足りないので左に枠を足してます。
上下も調整しました。
そんで普通に入ってます。
木製建具ってフレキシブルで素晴らしい!
あとですね、引き戸と同様、ドアも同じようにある程度はどうにでもなります。
うちのドアはすべて真鍮ドアノブのついた古い洋風ドアなんですが、左右の吊り元だけチェックしとけば問題ないと思います。(実は吊り元も左右入れ替え可能だったりしますが)
あ、
ただ一つだけ、「反り」にはご注意を。
うちの新築の寝室にはアホみたいに反った木製ドアがついています。何も知らない僕と嫁が「これかわいいよね~」「おしゃれだよね~」とか言って買ってきたやつですが、いざつけようとした時に大工さんに「本気で言ってんすか」と言われた代物です。
結局、熟練の建具屋さんが根性でつけてくれましたが、どこからどう見ても歪んでるので欠陥住宅にしか見えません。
なんでちゃんと閉まるのかいまだに謎です。
建具屋さんスゲェ。
ちなみになぜそこまでして古建具なのかというと、やっぱり古民家には古建具が合うからです。そして素敵だからです。
特に格子のある木製建具。
デザイン性に富み、ガラスも個性豊かで、雰囲気バツグン。
インテリアデザインの目線で言うと建具ってすんごい重要ですよ。その家の印象は建具で決まると言っても過言ではありません。
だから僕は14万円もする木製窓セットを迷いなく購入したわけです。
ちょっとこれ見てください。
↓
いかがでしょうか。格子の有無だけでこれくらい違います。
人間の印象というのは、ほんの少しのオプションで大きく変わるものです。
余談ですがこんなトップクリエイターもオプション外すと普通のおっさんです。
↓
お分かり頂けたでしょうか。オプションは大事なんです。
窓に格子があるだけで「他の家と違う感」が出ます。
窓が木製なだけで「なんかすごくいい感じ」になります。
ただ気密性はゼロなので、前に書いたように上手に工夫して、皆様にはぜひ積極的に古建具を取り入れていって頂きたいなと思います。