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古民家だと聞いて行ってみたら普通の中古の和風住宅だった

だっしゃオラ!!!
シャオラッ!!!
はい。
あ、今の奇声ですか?
これはあれですよ、純文学の崇高な世界からこのクロニカの俗っぽワールドへの頭の切り替えの合図ですよ。
あと刃牙全巻無料で刃牙を読みふけっていたという影響もある。
そんなことはどうでもよろしい。
今日の話題はこちら。
「古民家だと聞いて行ってみたら普通の中古の和風住宅だった」という話。
これ、分かる人は「ああ~」と思い、分かんない人は「?」な話だと思います。
いやちょうど先日ね、読者の方がそういう目に遭われまして。
そういえば僕も幾度となく同じ目に遭ったなあと。
でも今までブログでそういう話を書いてなかったと思うんですよ。
なぜなら今となっては別に普通の話で、特筆するまでもないかなって思っちゃってたからです。
でもよく考えてみれば僕、最初は「古民家」と「中古の和風住宅」の区別がついてなかったんよね。そしてもちろん、今でも区別がついていない方々はたくさんいらっしゃることでしょう。
という理由で今回はその両者の違いを説明したいと思います。

とりあえずこれ見てもらいましょか。
これ。
ここに表示されてる家は、99.99%古民家ではありません。
まじ?
と思った皆さん、まじです。
そして、この記事を見つけられて良かったね!!と思います。
え、だいたいこんな感じでいいんじゃないの? とお思いでしょうが、まあパッと見はそんな変わんないですよ。
でも問題は中身。
こういう家は戦後、というかわりと最近建てられたものなので、内装においては古民家好きの皆さんが期待するようなあの「明治」「大正」「昭和初期」な雰囲気は微塵もありません。
日焼けしてるけどわりとまだ新しい柱。
その辺にある普通のドア。
全ての窓に装着されているアルミサッシ。
ツルツルのプリント合板の床。
その家の子供が壁に貼ったであろう、わりと最近のキャラ(ポケモン等)のステッカー。
つまり「中古の和風住宅」は「よくある普通の中古住宅」であって、古民家の味わいを求める方にとっては全然別物なのです。
でも99.99%の方々がこういう住宅も「古民家」だと思ってます。
「古民家探してる? それやったら俺の知り合いの家が古民家やから、いっぺん見に行くか?」
とかすぐ言ってくる親戚のおっさんいるじゃないですか。
その場合、それは99.99%の確率で「古い和風住宅」なのです。
おっさんらは全員、「瓦屋根」で「和風」で「中古」なら全部古民家だと思ってるのですよ。
なのでそういう時はウッキウキで行く前に「写真見せて」と言いましょう。
それが本物の古民家か、そうでないかは、おおよそ写真で見分けがつきます。

今回は図示を避けられないので、もう二度と筆は執るまいと思っていた僕が再び画力を爆発させました。
先述の親戚のおっさんの車(白いセダン)に乗って、へんぴなところに連れていかれて、「ここや」とドヤ顔で下ろされたあなたの目の前に建っているのがこういう家です。
僕ならこの時点で親戚のおっさんに「うん、もう分かったから駅まで送って」と言い車に戻ってシートベルトを締め直すと思います。
なぜそんな一瞬で分かるのか?
それはこういうところで分かるのですよ。

いかがでしょうか。
古民家って戦前なんですよ。戦前。
戦前にアルミサッシなんか無いでしょ。今『虎に翼』見てる人はセットの建物にアルミサッシが使われてるかどうか号泣しながらもチェックしてみてください。
とはいえ古民家の木製の窓を、あとになってアルミサッシに変えるのはよくあるパターンなので、単純にアルミサッシだからといって古民家ではない、とは限りませんが、そこは上図のように「めっちゃ最初っからアルミやんけ」という感じがあるかどうかで判断できます。

あと二階建ての家は、二階が居住空間になってるかどうかでもある程度は判別できます。
ガチの古民家は町家や商店とかでない限り、二階に人が住むということはまれです(たぶん)。
なので二階部分の高さがある場合は怪しいです。

あとは基礎ですね。コンクリの基礎があったら古民家じゃないです。
でもうちのように、縁側をまるまる増築して、そこだけ基礎がある、という場合もあるので、基礎の有無だけで判断せず、サッシとか二階の雰囲気とか全体のヤレ感とかで総合的に判断するのがベストですね。

で、いろんな要素の中でどれが一番決定的かというと、基礎です。
これは家の工法がまるで違うことを指します。
工法が違うと、リノベの方法も変わってくるんです。
柱と貫の免震構造の古民家は壁があまり無くても大丈夫ですが、基礎のある家は壁で耐震性を担保しているので、自由に壁や柱を抜いたりすることができません。
それにコンクリの基礎が法律で定められたのは戦後なので、コンクリ基礎=戦後=古民家じゃないよ、となるわけです。

これですね。この違い。
分かりますか?
足下のちょっとした違いですが、実はこれが決定的な違いとなります。
本物の古民家を探す時はぜひこの部分に注目してください。
そのうち慣れてくると、その家に基礎があるだけで「あー」と思うようになりますよ。
信じられませんか?
じゃあ絵描きついでにこういうの描いたので見てください。

皆さんこの4人のそれぞれ微妙に異なる猫型ロボットをぱっと見た時、1人だけ違和感あるやついるでしょ?
他はだいたい許せるのに、1人だけ「おまえだれやねん」って思うやついるじゃないですか。
そう、この猫型ロボットを猫型ロボットたらしめているのは、ヒゲでも鈴でもポケットでもなく、シロートが描く時に非常にミスりがちな、この目の横のラインの位置取りなのである!!
古民家における基礎の有無はまさにこれと同じだと思っておいてくださいね。

以上、「古民家」と「中古の和風住宅」の違いについて力説してみました。
もちろん「中古の和風住宅」にもセンスのいい素敵な家はあるし、リノベして自分好みに生まれ変わらせることだって充分可能です。
でも「古民家の風合い」は望めないので、それを求めるこのブログの読者の方々にとっては、内覧前に見分けがついた方が良いよねというお話でした。
おわり。

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