射水市の笹川建築さんが古民家を直しています
今回は探訪レポです。
富山県は射水市にある元廻船問屋であるという古民家(豪邸)を同市の笹川建築さんが自分とこでリノベして今から色々やっていくぜ! ということなのでお邪魔してきました。
こういう古民家の工事を見学させて頂くのは貴重な機会なので、今回はその体験を余すことなくお伝えしていこうと思います。
ではまずは、元廻船問屋というその素晴らしい古民家の写真をご覧ください。
あっまちがえた!
ごめんこれ「めん八 御旅屋店」さんの富山ブラックの写真や!
めっちゃおいしかったんですがそれを詳しく書くと探訪レポじゃなくて食レポになっちゃうので止めときます!
すみません気を取り直して、こちらが正しい写真。
一枚目が表通り、二枚目が裏庭からの写真です。
普通の家にはこういうiPhoneの縦向きで撮ってるのに上半分が見切れる高さの木って生えてないじゃないですか。
既に豪邸感がムンムンしますよね。
このお宅が、笹川建築さんの手によってただいま絶賛リノベーション中なのです。
これは表通りの写真です。
この「越中浜往来」と名前のついた通りには、他にもたくさんの古民家が残されていて、古い街道ならではの風情があります。
越中浜往来はなんと室町時代以前から使われていた歴史のある街道で、江戸時代にも参勤交代により宿場町が置かれて栄えたそうです。
また「曳山祭」というお祭りもあり、後述しますがこの街道にある家はお祭りの時に特別な仕掛けがあるのです。
そういう歴史的な背景を知ると、その地域の古民家をいっそう楽しめますね。
ここは海のすぐ近くで、数分ほど歩くと目の前にこういう光景が広がります。
いやーめちゃめちゃ美しい。
北の海はなんでしょう、いつも僕が眺めている瀬戸内海とはまるで違って、透明度が高く、はるかに遠く、荒っぽくも静けさがあり、海がすぐ側にあると知らずに散歩していた僕はしばらく立ちすくんでしまいました。
さてこちら現場に戻りまして、写真に写っているのが富山県射水市の笹川建築代表、全国古民家再生協会富山第二支部支部長の笹川さんです。
念のため書いておきますがこれは決してヤミ金の方が居留守を使っている負債者の格子戸をこじ開けようとしているシーンではございません。
何をやっているのかというと、さっき書いた「お祭りの時の特別な仕掛け」を実演して頂いているのです。
なんでも、祭の時には街道沿いの家々の縁側がディスプレイになって、そこに絵師さんが描いた絵が飾られるという文化があるらしい。
実際の絵は残っていなかったんですが、その機構をご説明頂きました。
まずここの縁側の格子戸を開けて、それから室内に回ります。
そんでこの縁側の上に取り付けられた板を…
下ろす!!
そうするとこの板が背景となり、板の前に絵を飾ることができるという形です。
見ると上にもう一枚残ってるので、上下二段になってるんですね。
こういう他の地方では見たことないギミックがあるのも、地域によって個性がありまくる古民家の醍醐味です。
もしこれが自分の家なら、このギミックをどう活かすか…
店舗をされる人は板をそのまま看板にしても面白いし、考えただけでもテンション上がりますよね。
で、気になる中身はこんな感じ。
なんか座敷が一階と二階の両方にあったり、書院がいくつかあったり、パッと全貌を把握できない広さです。
現在は工事中なのであまりピンとこないと思いますが、これ完成したらすごいお家になりますよ。
ちなみに笹川さんはこの家を住居用ではなくお宿と店舗として活用されるそうです。
ずっと空き家になっていたこの豪邸、きっかけは再生協会への市役所からの連絡でした。自治体さんから空き家の扱いに困っている、どうにか活用できないかと相談があり、じゃあ分かりましたということで、笹川さんが再生に取り組むことになりました。
笹川さんがやろうとしているのは「民泊」「カフェ」「居酒屋」の3つが合わさった複合施設。
民泊といっても普通の民泊ではなく、バリアフリー(情緒面・機能面)が整備された宿泊施設、ということです。
どういうことかというと、普通のお客さんはもちろん、障がいのある方、そしてそういった方々を介護される方々にも利用頂けるような宿にしたいというのが笹川さんの思いなのです。
観光で射水市に来られる方はもちろん、普段ゆっくりできない地元の介助者の方やご家族の方にもくつろいで頂けるようなスペースをつくりたい、とのこと。
「バリアフリーって言っても段差とか全然あるんですよ。そういうことじゃなくて、看護の人たちと提携組んで、何かあっても駆けつけてくれるとか、そういうことです。なんでもかんでも段差を無くしちゃうと車椅子の人は楽なんだけど、たとえば目が見えない人は段差が目印だったりするから。だから100点じゃなくて、みんなにとって平等に安心できる場所を目指してます。特に介護する側の人たちに休んでもらいたい。自分が親父の介護をすることになって介護側に回った時に、こんな大変なことはないなと感じたことがあって。だから休むところがあればなって思いました。あともちろん観光の人も来て欲しい。この辺は泊まるところがないんですけど、今後は一泊で来てもらえるんで」
また、笹川さんはDIYイベントを開催して、皆で一緒にこの古民家を再生しようとしています。
「興味持って欲しいんですよね。地域に人が増えて欲しいし、空き家を買ってDIYしたいという人の助けにもなりたい。『こんなことやっていいんだ!』という感じを知って欲しい」
笹川さんのお客さんにも古民家を買った方がいらっしゃって、でも「親には言えんがです。こんな暗くて汚いものを買ったと知ったら絶対に反対されるので、完成してから言います」と仰られたそうです。
まだまだそういう意識が根深いから、DIYイベントを通じて古民家が美しく生まれ変わることを知って欲しいんだと笹川さんは話します。
この施設にまつわる活動がきっかけとなって人が集まり、この通りの素晴らしい古民家を再生してもらってたくさんお店が生まれてくれればいい。
笹川さんはそんな思いでこのプロジェクトに取り組んでいるのです。
長くなったので次回へ続きます。