現代の家づくりは「プレカット工法」という、工場であらかじめカットされた木材をプラモデルのように組み立てる工法がほとんどです。
またビニールクロスやクッションフロア、集成材、サイディング壁など簡単に施工できる「新建材」と呼ばれる化学的な仕上げが一般的になっており、自然素材がほとんど使われていません。
その結果、複雑な継手やほぞ組みでつくられた古民家を修繕できる大工さんが激減し、自然素材の気持ちよさ、温かさが忘れ去られ、日本の伝統建築の美しい街並みが失われつつあります。
クロニカでは、一般社団法人全国古民家再生協会さんのご協力を得て、古民家や自然素材の良さを知り尽くした工務店さんや設計事務所さんなどプロの方々にインタビューを行っていきます。
普段あまり公にお話をされない社長さんたちの、古民家、ひいては「住宅」そのものに関する考え方は、きっと僕たちに大きな気付きや視点を与えてくれます。
僕と一緒に、古民家のこと、家のこと、もっと勉強していきましょう!
古民家と断熱。この一見両極端な要素の両方のプロが、全国古民家再生協会宮城県連合会の藤木さんです。藤木さんは元々断熱の専門家としてご活躍されていましたが、ご病気を機に古民家の世界に飛び込み、現在に至ります。そんな経歴をお持ちの藤木さんに古民家の断熱方法やサッシ問題など、我々施主がずっと気になっていたことをたっぷり質問してみました。
青森県青森市の大室建築代表、大室さん。代々続く宮大工の家系に生まれ、今も仕事の半数は社寺建築に携わっているそうです。大室さんの多彩なお話は、私たちに「家とは何か」「日本文化とは何か」を改めて問いかけ、考えさせてくれます。クロニカ最長記録のほぼノーカットのロングインタビュー、たっぷりとお楽しみください。
【内容】
和鉄を集める / 今の釘は寺社仏閣に使えない / 青森の古民家の工夫 / 九代目を継ぐ / 究極のデザイン / 薬師寺金堂の話 / 200年待ってほしい / 家のわがまま、人のわがまま
一本の古材からオリンピック選手村や万博、村上春樹記念館まで、幅広い建設に携わる東京の真輝建備代表の腰越さんは、日本の材木屋として古材の流通促進に取り組んでいます。材木のこと、古材のこと、建築業界のこと。有名建築家K氏とのお仕事の話や海外の展示会など、誰も知らないようなお話もたっぷりと伺いました。
全国古民家再生協会群馬第一支部、松本家の松本さんは、小さい頃からものを作るのが好きで、自然と建築の世界に入りました。工場の機械で生み出されるプレカットの家ではなく、人間が木のクセを見て、現場で判断しながらつくる伝統的な「手刻み」の技術を修業時代に習得した松本さんは、それを後世に伝えていきたいと願っています。この記事ではそんな松本さんの仕事に対する姿勢や考え方の一端をお伝えします。
埼玉県秩父郡にある浦島設計事務所の浦島さんは幼稚園の頃に大工の棟梁に出会い、高校の頃に障害児者のボランティア活動に出会います。いくつもの出会いによって導かれるように今があり、古民家に惹かれる自分がいる。家の話を通じながら、「住みよい家」を目指す浦島さんのルーツを探っていきます。
【内容】
秩父地方の古民家のこと / 空き家になりつつある「昭和の家」 / 過渡期の家と伝統耐震診断 / 祭を中心としたコミュニティ / 障害児者のボランティア活動 / 高校の時にガラガラッと変わった / 住みよい住宅、使いやすい建物
千葉県南房総市の大五郎建設。代表の石井正明さんは代々続く宮大工の9代目棟梁です。その途方もない歴史を背負い、現代の日本で伝統的な住宅を作り続けるためには、並々ならぬ創意工夫が必要でした。今回は石井さんとそのご子息である良次さんのお二人に、文化と技術、そして歴史を継いでいくことについて話して頂きました。
【内容】
空気の話 / 200万円の価値 / 25年かけた断熱工法 / 「継いでくれ」はなかった / 継承の難しさ / 共同作業でつくる家
古民家は現代の家と違った建てられ方をしているため、地震に耐える方法が違います。古民家を現代の耐震診断ではかると0点になりますが、だからといって古民家が地震にものすごく弱い、ということではありません。その理論を学ばれた伝統構法耐震評価機構の杉本さんに、古民家の耐震についてあれこれ聞いてみました。
【内容】
出会いのきっかけ / 古民家の性質を「みえる化」する / 白黒つけなくてもいい / 理論で基準を作ってあげる / 伝統構法のまま直すために / いずれ常識になる / 日本人の「コト」
石川県金沢市、株式会社クロダハウス代表の東さんは、スウェーデンハウスを扱う会社を経営されています。そんな方がなぜ古民家を?と思いましたが、お話を聞いているうち、北欧の暮らしと古民家との間に、意外なほど多くの共通点があることに気付かされました。代々住み継げる家が、その家族にもたらすものとは。大切なお話をたくさんして頂きました。
富山県小矢部市。この地方独特の「アズマダチ」と呼ばれる古民家、その構造的意匠である「枠の内」の家々が残る美しい風景の中に株式会社アキの社屋があります。古民家の移築再生を行う「越中古民家」を立ち上げた代表の加藤さんは材木屋の三代目。材木を中心に、私たちが忘れかけている「家」という大きなものの像を語って頂きました。
三重県伊賀市の森の中にひっそりと佇む「株式会社山のめぐみ舎」。代表の神保さんは都会暮らしから田舎へ引っ越し、実際に古民家に住まわれています。このインタビューではそんな神保さんに大がかりな古民家再生の事例と、古民家の移築についてあれこれお伺いしました。
新潟県新潟市の清新ハウス代表取締役社長であり、全国古民家再生協会新潟第一支部の支部長である中村さんは、多彩な趣味と経歴を持つ方です。役者時代に培われたもの、古民家に惹かれたきっかけ、そうして出会った古材の魅力。繊細なカーテンの話から豪快な構造の話まで、中村さんらしく彩り多い対談になりました。
【内容】
空き家調査で気付いたこと / インテリアとカーテンの話 / 死ぬまでお付き合い / 阿賀町は古材の宝庫 / 古材の良さを伝えたい
岐阜県養老町に生まれ育ち、養老の活性化に意欲的に取り組む堀さん。1300年の歴史ある養老にはたくさんの古民家が残されていますが、今はその財産を有効活用できているとは言えない状態だそうです。由緒ある老舗旅館「千歳楼」の修復工事を皮切りに、大きな問題へ一歩ずつ取り組んでいくその思いを語って頂きました。
【内容】
古民家が理解されていない / 「千歳楼」の修復工事 / 1300年の歴史を誇る養老町 / 10年通い続けた京都 / 思いが込められた家
富山県射水市にある笹川建築は腕利きの大工が集まる大工集団です。その代表、笹川さんにお話頂いたのは、大工たちをまとめる二代目としての気概と、「木」というものの丁寧な解説です。これから家を触ろうとする人たちはもちろん、大工さんを目指す人たちにも読んでもらいたい、大工と家と木の、そして人間の「心」の話です。
【内容】
富山の古民家 / 仕事にウソはつけない / 棟梁が求められるもの / 手刻みとプレカットの違い / 自然乾燥材と人工乾燥材 / クレーマーと大工 / 手入れされずに荒れる山 / みんなが集まる「いっぽく場」
三重県多気郡、有限会社山路工務店の四代目である小林さんは、その穏やかな物腰からは想像もつかないほど筋金入りの精神を持ち、実際に行動する人でした。古民家に住み、田んぼで米を育て、土鍋でご飯を炊く。ほんの数十年前は当たり前だった「自然のサイクル」の中で生きることを、もう一度私たちに思い出せてくれるお話です。
【内容】
四代目の継承 / 築五年の自宅を売却 / 古民家暮らしのかたち / 機械のいらない生活 / 人に見せて欲しい / 昆虫が戻ってくる田んぼ / 最後の工事の話
静岡県島田市にあるWAKURASU・富田工務店代表の富田さんは、古民家再生はもちろん古民家探しからお客さんをサポートします。そのざっくばらんなお人柄から語られる古民家という選択肢には、技術屋としての理論に裏打ちされた理屈がはっきりと見えます。イメージではなく理屈で古民家を選んだプロの言葉、ぜひご一読を。
【内容】
自分でつくったキッチン / 縁側の記憶 / 技術屋の理屈がある / 「黒壁の家」の意義 / 村に誇りを持ってほしい / 住宅性能表示への疑問 / 間違った道は行ってない
三重県四日市市にあるトータルアシストプラン株式会社が得意とするのは数寄屋造り。勉強嫌いの子供だったという代表の堤さんは、まるで大きな力で呼び寄せられたかのように、自然と数寄屋へ繋がる道のりを歩んできました。幼少体験からモダニズムのデザインまで幅広いお話の中、その芯に根ざすのは技術職としての矜恃です。
【内容】
自分の家を設計できる設計士 / 設計事務所と工務店 / 数寄屋には「型」がある / 貴族文化とモダニズム / 三重県の古民家 / 五人家族で十五坪 / 導かれた出会い
愛知県新城市、豊橋市、豊川市にそれぞれオフィスを構える戸田工務店。今回は社長の戸田桂一郎さんと、会長である戸田由信さんのお二方にお話を伺いました。全国の古民家再生事業が抱える問題を通じて見えてくる、知られざる日本の住宅史と現状。ぜひ最後まで読んでもらいたいインタビューです。
【内容】
工務店も大工も知らない / 日本のコンプレックス / 作り手の「良心」の在りか / 人間の手足に触れてきたもの / 業者側の倫理 / 継いでいける世代の使命
京都府京都市、Anyxi(エニシ)建築工房の永井さんは一級建築士としてRCから木造まで様々な建物を手がけます。そんな永井さんは、木造のこと、古民家のことは大工に教わったと語ります。その古民家もまた、子供たちに「生きる力」を教える存在。我々の先祖が培ってきた文化の流れを絶やさないため、永井さんは再生協会に加盟し、京都第二支部を立ち上げました。
淡路島の北淡エリア、まさき工務店の事務所は日本の原風景のような景色の中にあります。1995年の阪神淡路大震災を乗り越え、どんどん変わっていった淡路島に対し、そこに大工として生き続ける正置さんにある思いが芽生えます。
大阪府岸和田市、中原工務店の中原さんは地域に根ざす大工さん。今では希少になってしまった手刻みの仕事を求めて親方の元を離れ、23歳で独立されました。今や再生協会の支部長として、古民家を守り、地域を良くする活動に日夜奔走する日々です。そんな中原さんに、大工の話、地域の話、子供の話など色々お伺いしました。
京都府亀岡市にある松栄住宅代表の畑さんは、古材を使った新民家という住宅を推進されています。その考えに至るまでには、左官の世界、不動産業界、ドームハウスなど様々な経験がありました。常に答えを探し続け、60歳を過ぎて新しい世界に飛び込んでいった畑さんの、多くの体験と思考の軌跡をここにご紹介します。
【内容】
不動産業界に飛び込む / 家をつくりたい / 日本初の木造ドームハウス / 何のために生まれてきたのか / 京町家の改修 / 「新民家」という選択肢 / 繋げていって欲しい
京都府亀岡市、畑工務店代表の畑さんは手刻みができる大工であり、シックハウスの研究者であり、介護保険事業も手がけていたりと、いろんな顔を持つ方です。多岐にわたるお話をお伺いして感じたのは、その底の方に流れる「お客さんのためになることをしたい」という気持ち。畑さんが辿り着いた答えは「本物の家づくり」でした。
【内容】
大工は揺れ方を知っている / 消えた「家の個性」 / 不動産屋が大工を選ぶ / シックハウスの研究 / 介護保険の矛盾 / 一階の雨漏りの話 / 図面に無い仕事 / 自然の気持ちよさ / 木を舐める
奈良県大和郡山市。奥様のシックハウスを契機に自然素材の家づくりに舵を切り、古民家再生を手がけるようになった代表の中西さんへのインタビューは、まるで古民家のような雰囲気を持つモデルハウス『和みの家』にて行われました。寒さの話、職人の話、住宅産業や断熱の話。多岐にわたってお届けします。
【内容】
義父の仕事を継ぐ / 奈良の古民家事情 / 寒さの経験と薪ストーブ / シックハウスから古民家へ / ふっと気が抜けた / 中古物件の問題 / 断熱の実験
24で一人前の棟梁として独立後、伝統工法の家を数多く手がけてきた大森大工代表の大森さん。立派な古民家が建ち並ぶここ滋賀県長浜市で鍛え上げられた、いわば古民家のスペシャリストです。そんな大森さんにたっぷりと語って頂きました。
【内容】
丁稚奉公、そして独立 / 奥様との二人三脚 / 守り続けた伝統工法 / 地元の素材でつくられた家
大分県中津市で一級建築士として活躍されている兎洞さんは、学校などの大型公共建築を手がける傍ら、古民家の耐震のスペシャリストでもあります。今回はその専門家である兎洞さんに、古民家の内覧時のチェックポイントや古民家の耐震構造について、かなりマニアックに根掘り葉掘りお伺いしました。
宮崎県日南市の作田建築設計。代表の作田さんは現場仕事と設計、その両方を深く知る一級建築士さんです。木材、断熱、庭木と風の話……様々な知識を持つ作田さんから感じるのは、家づくりにおけるストイックな姿勢です。楽をせず、妥協もせず、徹底的にお客さんにヒアリングを行って正解を探る。そんな作田さんが語る古民家の話、ぜひお楽しみください。
長崎県北松浦郡、福田工務店の福田さんは代々大工の家系に生まれました。もちろん実家は古民家。幼い頃から木に親しみ、内弟子さんたちに囲まれ、「古民家に育てられたようなもの」と仰います。そんな福田さんは今、全国古民家再生協会の支部長として、地域の古民家と大工の伝統技術を守るため、日々奔走されています。
【内容】
總社神社の再生工事 / 今のこだわりと5年先のこだわりは違う / 兄ちゃんがいっぱいいる / 本当に潰さないといけないのか / 仕口と継ぎ手をよく見ろ
鹿児島県鹿児島市の西建築代表、西さん。一級建築士として、地域の工務店として、また古民家の相談窓口役として今切実に考えるのが空き家問題。その解決のためにはとにかく「住教育」が大切だという信念を持ち、西さんは古民家に隠されたストーリーを丁寧に拾い上げ、古民家のこと、その家の歴史を住人の方々に伝えていきます。
【内容】
勉強しなくていいから家を手伝え / 「縁起でもない話」をしていくべき / 建築も土木もできる / チームプレイの古民家再生
宮崎県日向市、株式会社与組代表の坂口さんは自宅用に古民家を購入し、数年かけてリノベ中。現在茅葺き古民家の移築事業などに意欲的に取り組む坂口さんですが、最初から古民家に出会っていたわけではありませんでした。自然の中で育ち、様々な世界を経験し、やがて辿り着いた答え。そんな坂口さんの物語をご紹介します。
【内容】
田舎暮らしの快適さ / 70年前の大工さんの悔しさ / ホテルに泊まると喉が痛くなる / 木造建築は一括りにしてはいけない / 茅葺き古民家の移築プロジェクト / 古民家に出会うまでのこと
福岡県鞍手郡にあるやまぐち建設代表の山口さんは、昔ながらの技で古民家を直せる本物の大工さんです。木に詳しい大工職人でありながら「お客さんに寄り添いたい」と繰り返す、職人の頑固さや気難しさとは正反対の山口さん。無垢材の話、これまでの半生、古民家の直し方など、多岐にわたってその思いを語って頂きました。
【内容】
何か違うと思った / 独立の苦労 / 古民家を古民家らしく / ずっと勉強 / 無垢材の扱い方 / 全然違う家の寿命 / 家は人間の「巣」
一般社団法人全国古民家再生協会は、国土交通省住宅リフォーム事業社団体として認可を受け
全国各地域に残る日本の住文化である「古民家」を未来の子どもたちへ継承するために活動をおこなう
各地の一般社団法人古民家再生協会で構成される全国組織です。
地域資源である古民家の利活用を促進し、地域活性化を目指し活動しています。
伝統的構法で建てられた家屋(古民家)を中心に、古民家の調査(インスペクション)を実施し状態を明確にし、
古民家の再生に適した再築基準を用いて安全・安心で快適な暮らしを実現するとともに、
地域資源である古民家の利活用促進をおこない地域活性化を目指し活動しています。国が定めた一定の要件を遵守し、
地域の皆様の信頼できるパートナーとして、安全・安心・快適で便利な暮らしを実現するリフォームを提案しています。
クロニカでご紹介する工務店・設計事務所さんはこの協会に所属する会員さんに限らせていただいています。
協会会員には300万円以上のリフォーム工事を実施する際に瑕疵を担保するために
株式会社住宅保証機構の「まもりすまいリフォーム保険」の加入が義務づけられていますが、
リフォーム工事部分の瑕疵(欠陥)があった場合の補修費用をカバーできるこの保険は、
基本的に対象が古民家であっても適用されます。また、会員が万が一工事の続行が困難になった場合おいても、
施主に直接保険金が支払われるため安心です。
一般社団法人全国古民家再生協会について、詳しくはこちらをご覧ください。